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小説「ひとこと言うたるわ」(04) プロローグ4/5

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「ひとこと言うたるわ」

●プロローグ(4/5)

 午後になり、面接が始まった。順番待ちの親子は面接室前の廊下で待機している。待っている時間がとても長く感じられた。 やがて、涼子たちが呼ばれた「西館涼子さん、浩太君どうぞ」浩太はリラックスした表情を見せていた。面接という経験がないためこれから何が起こるのかわからないのだ。涼子は顔をこわばらせたまま浩太をつれて面接室に入った。

 試験官は4人で、ひとりは校長だった。
「まず最初にお知らせしておきます。浩太君は非常に優秀ですね。午前中の試験ではただひとり満点でした」
「えっ、そうなんですか」涼子の顔が思わずほころんだ。(これで半分決まったも同然や)
 浩太もうれしげに椅子の上で体を左右に揺すった。
 喜びもつかの間、涼子はまた緊張してきた。面接開始だ。
「願書を拝見すると、お父様がいらっしゃらないようですが……」
 涼子は答えにくそうに言った「4年ほど前に離婚しまして…」
「お答えにくいとは思いますが、理由は何ですか?」
「主人の女性問題です」
「養育費はもらっていますか?」
「いえ、あの、初めはもらっていたのですが、そのうち届かなくなって……」
「幼児期は母性、父性ともに重要ですが、おたくの場合お母様が、父性にも気を配って養育されてきましたか?」
「あ、はい……いえ、あまりそういうことは意識したことがないです」」
「浩太君とお父様は定期的に会っておられるのですか?」
「いいえ」涼子はしどろもどろだった。(なんでこんな質問ばかりされな、あかんのや?)
 涼子は聞いた。「あの、先ほどからのご質問は浩太の受験とどういう関係があるのでしょうか?」
 校長が眼鏡を外して言った。
「当学園ではお子様の家庭環境をもっとも重視しています。健全な家庭環境ではぐくまれたお子様にご入学頂くことになっています。現在いる生徒の中に、母子家庭あるいは父子家庭のお子様は一人もおりません」
 涼子は胸を冷たいナイフで刺されたようなショックを受けた。
「先ほど申し上げたように浩太君は非常に優秀ですから、他の学校でも充分やっていけると思いますよ」
 涼子と浩太の面接は終わった。

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